臨床研究・医学研究賠償責任保険のご案内

弊社では臨床研究・医療研究機関、製薬企業、大学、スタートアップ企業の皆様向けに、臨床研究・医学研究を行う上で必須となる補償体制についてご案内を開始しました。IRB(倫理審査委員会)への審査に必須の賠償責任保険加入のお手伝いをさせていただきます。

1. 法令に基づいた「補償の義務」

法的な義務の根拠

健康被害に対する補償措置は、単なる倫理的な配慮ではなく、法令に基づいた義務です。

臨床研究法(特定臨床研究):研究に起因する健康被害に対し、研究実施者が補償措置を講じることが義務付けられています 。
GCP省令(治験):治験依頼者に対して、被験者への補償措置を講じる義務が明文化されています(第14条、第56条) 。
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針:研究に関連して研究対象者に健康被害が生じた場合、これに対する補償その他の必要な措置が適切に講じられることを確保しなければなりません 。

補償体制の不備は、倫理審査の不承認だけでなく、法令違反として研究の実施停止や罰則につながるリスクがあります。

【医師賠償責任保険ではカバーされない理由

通常の医師賠償責任保険は、あくまで「医療行為」に基づく損害を補償するためのものです。
一方、臨床研究で生じる健康被害は「研究行為」に起因するものであり、これは医師賠償責任保険の対象外となるため、医学研究専用の補償体制が必要になります。

2. 研究開始を遅らせない!「補償体制」準備の重要性

【IRB(倫理審査委員会)承認の必須条件

臨床研究や臨床試験を行う際、研究対象者(被験者)に予期せぬ健康被害が生じた場合に備えた「補償体制」の整備は、研究実施の前提条件です。
特に、侵襲を伴う研究で通常の診療を超える医療行為を伴うものを実施する場合、研究計画書には、健康被害に対する補償の有無とその内容を記載し、事前に保険への加入その他の必要な措置を適切に講じなければならないと定められています 。
この補償体制(保険証券など)の加入が確認できない場合、倫理審査委員会(IRB)の承認を得られず、研究開始が大幅に遅れるリスクがあります 。

【臨床研究・医療研究機関・製薬企業・大学・スタートアップ企業様へ: スピードとコストが鍵

競争の激しい研究開発において、研究認可の遅れは大きな機会損失となります。弊社では、IRB提出に必要な書類を迅速に準備できる体制で、研究計画の遅延を最小限に抑えます。

3. 補償の範囲と原則:研究者が知っておくべき実務知識

補償の基本的な考え方

研究者や研究機関に過失がなかった場合でも、研究と健康被害の因果関係が合理的に否定できない場合には、補償が必要とされています(無過失補償の原則) 。
因果関係の有無は、被験者に証明の負担を課すことはなく、治験依頼者(または研究機関)が最終的に判断し、その結果について責任を負います。

【補償の主な内容(医法研ガイドライン参考)

医療費:健康被害の治療に要した費用のうち、健康保険などからの給付を除いた自己負担額。入院の要否は問いません 。
医療手当:入院を必要とする健康被害に対して、通院・入院に伴う諸雑費として定額で支払われます。
補償金:被験者が死亡または一定の障害状態となった場合に、本人や家族の生活保障等を目的として支払われます。

補償の対象外となる主なケース(免責事項)

研究契約者または被験者自身の故意または重大な過失に起因するもの 。
試験薬等が所期の効能または性能を発揮しなかったことに起因するもの(副作用等を除く) 。
研究計画書からの著しい逸脱によるもの 。
プラセボ投与による治療上の利益が提供されなかったこと 。

【抗がん剤・特殊な研究の制限】

抗がん剤(抗悪性腫瘍剤)などの治験では、原則として医療費と医療手当のみの支払いが基本となるなど、薬剤の特性や研究目的により補償金の有無が個別に検討されます 。補償金の支払いを一律に否定するものではありませんが、事前に十分な検討が必要です 。

4. 【競争力を実現】貴社の研究に最適な補償体制を

【研究費を最適化する保険料競争力

研究の内容、被験者数、実施期間、リスクの程度などに基づき保険料は算定されます 。
私たちは、臨床研究・医療研究機関・製薬会社様の研究規模や予算に合わせたプランをご提案し、コスト効率の高い補償体制を実現します。
助成金や補助制度を利用することで、保険料負担を軽減できる可能性についてもアドバイスいたします 。

【迅速な手続きで研究認可を加速

IRB(倫理審査委員会)への提出書類(保険証券など)は、研究開始前に準備が必須です 。
複雑な研究計画書を基にした審査を迅速に行い、必要な書類を速やかにご提供できる体制を整えています。
加入の手続きには、一般的に臨床研究実施研究計画書等(プロトコール)、倫理審査委員会への申請資料、被験者数などの情報が必要となります 。

5. よくある質問(FAQ)

1. 補償体制の必要性に関する質問
Q:なぜ臨床試験や臨床研究では賠償責任保険が必要なのですか?
A:臨床試験や研究では、予期せぬ副作用や健康被害が発生する可能性があります。被験者保護の観点から、補償体制を整えていない研究は実施できません。賠償責任保険は、こうしたリスクに備え、迅速かつ公平な補償を行うために不可欠です。
Q:法律や規制で補償は義務づけられていますか?
A:はい。臨床研究法第17条やGCP省令第56条により、研究責任者や治験依頼者は、被験者に健康被害が発生した場合に備えた補償措置を講じることが義務付けられています。
2. 加入対象・契約形態
Q:誰が加入する必要がありますか?
A:臨床研究法やGCP省令の対象となる研究を実施する機関・企業が加入します。大学・研究機関、製薬企業、スタートアップ企業、CROなどが主な対象です。
3. 実務的な流れ
Q:加入の手続きにはどのような書類が必要ですか?
A:一般的には研究計画書、倫理審査委員会への申請資料、被験者数などの情報が必要です。これらを基に保険会社が補償内容・保険料を算定します。
Q:倫理審査委員会(IRB)に提出する保険証券はどのタイミングで準備すべきですか?
A:研究開始前にIRBへ提出する必要があります。保険加入が確認できない場合、倫理審査の承認は得られません。
4. トラブル・事故発生時の対応
Q:実際に被験者に健康被害が生じた場合、どのような流れで補償が行われますか?
A:研究機関または依頼者が状況を確認し、速やかに保険会社へ報告します。その後、 事故の状況について詳細を確認し、必要な書類を提出。書類をもとに保険金の支払い可否を審査し、補償範囲と保険金額を確定した上で保険金をお支払いします。
5. コスト・運用
Q:保険料はどのように決まりますか?
A:被験者数、研究内容、実施期間、リスクの程度などをもとに算定されます。リスクが高い研究ほど保険料も高くなる傾向があります。
Q:スタートアップ企業でも加入可能ですか?
A:はい、可能です。研究規模や予算に応じたプランを選ぶことができます。助成金や補助制度を利用して保険料負担を軽減できる場合もあります。

6. 株式会社アステクトにご相談ください

当社は、長年にわたり医学研究分野に特化し、200件を超える研究案件において補償体制構築の実績がございます。
この実績と専門知識に基づき、貴社の研究ニーズに合った最適な補償設計と迅速な手続きをサポートいたします。